2016/11/05

ミッション・ステートメントの重要性を考える


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ミッション・ステートメントの重要性



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ストレスと上手くつきあう方法の一つは、長期的な視野に立ち、自分にとって何が本当に大切なのかを再認識することではないでしょうか。何のために生きているのか、人生の意味は何なのか、自問自答をし、自分の今の生き方が人生の最終目標へ達するための道から外れていないか確認します。その過程の中で、自分にとって本当に大切な物事をリストアップし、優先順位をつけていきます。

とりあえず私のトップリストはこのような感じになります。

  1. 睡眠 6時間以上/日
  2. ワークアウト 1時間 x 4回/週
  3. 瞑想 30分 x 7日/週
  4. 仕事に関する勉強 30分 x 7日/週
  5. 読書またはポッドキャストを聴く 時間の許す限り x 7日/週 

2と3と4は状況によって優先順位を移行させる場合があります。例えば、土曜日になっても勉強・読書がほとんどできておらず、ワークアウトをすでに3回できた週などは、ワークアウトをスキップし、その「作り出した時間」を勉強・読書・ポッドキャストなどに振り当てます。限界はありますが、工夫と努力次第で大切な物事に割り当てる時間は作り出せます。

時間は与えられるものではなく、自ら造り出すもの。

自分によく言い聞かせる一節のひとつです。自ら時間を造り出すという姿勢は、受動的に生きていては得られません。しっかりとした人生の目標を定めて自主的に行動し、かつ自分が何のために生きているのか、自分の人生の意味が何なのか、常に意識しながら生活していく必要があります。

人生の目標を見つけるのは、どうしたらいいのでしょうか? 一生懸命悩んでもなかなかこれは、というものに思い当たることはありません。悩むだけではちょっと難しいのかもしれません。

ミッション・ステートメント

今回のブログではミッション・ステートメントの重要性について考えていきたいと思います。ミッション・ステートメントと言えば、まず頭に浮かぶのは会社・大学などの組織ではないでしょうか。

しかし、The 7 habits of Highly Effective People (邦訳:7つの習慣)の第2の習慣の章において、著者スティーブン・コヴィーは個人のミッション・ステートメントを、まず第一に挙げています。どの組織も個人の集合体。すなわち、まず個人あっての組織なのですから、考えてみるとなるほどと頷けます。

個人のミッション・ステートメント

スティーブン・コヴィーは個人のミッション・ステートメントを以下のように表現しています。

[A personal mission statement] focuses on what you want to be (character) and to do (contributions and achievements) and on the values or principles upon which being and doing are based.

訳:個人におけるミッション・ステートメントでは、どのような人になりたいのか(人格)及び何を成し遂げたいのか(貢献・達成)に注視します。また、それらの基礎を成している価値観・原則も重要です。

Begin with End in Mind

この章では「begin with end in mind」(訳:人生の最終地点をイメージすることから始めよう)という表現が多用されています。これは第2の習慣を実行する上で必須のルールであり、その適用方法をコヴィーは以下のように説いています。

[B]egin today with the image, picture, or paradigm of the end of your life as your frame of reference or the criterion by which everything else is examined.

訳:人生の最終地点を思い浮かべ、その場に立った心構えで今日一日に臨みましょう。この心構えを以て、その他すべての物事を観察するのです。

人生の最終地点の具体的な例として、コヴィーは自分の葬式を思い描くようにと提案します。友人・家族・同僚がお焼香をあげる際、各人が故人(自分)について一言述べるとします。皆、どのように故人(自分)を偲ぶのでしょうか? 各人が描く人物はどような人なのでしょうか? 優しくて思いやりのやる人でしょうか? 知恵・知識が豊かで、思慮深い人でしょうか? 行動力と決断力のある人でしょうか? 心が広く、いつも明るい人でしょうか? 嘘をつかず、信頼がおけ、いざという時に頼りになる人でしょうか?

それとも逆に、尊敬できる点のない、至って未熟な人間として参列者の記憶に残るのでしょうか? 死んでしまってからいくら悔やんでも、もう手遅れです。自分の人生はもう変えられないのですから。

故人の人生を最も端的に示したものといえば、碑銘が思い浮かびます。以下に有名な例をいくつかあげてみました。

George Washington Carver: 教育者/植物学者
“He could have added fortune to fame, but caring for neither, he found happiness and honor in being helpful to the world.”

訳:名声をもって富を得ることができたにもかかわらず、そのどちらを意に介さなかった。世に貢献すること、そこに幸せと誇りを見出したのだ。


Jack Dempsey ヘビー級ボクシング世界チャンピオン
“A gentle man and a gentleman.”

訳:真の紳士。


Will Rogers コメディ役者/コラムニスト

“I never met a man I didn’t like.”

訳:嫌な人には今まで一度も会ったことがないよ。


Martin Luther King Jr. アメリカ公民権運動の指導者
“Free at last, Free at last,Thank God Almighty. I’m Free at last.”

訳:やっと、やっと、全能の神に感謝します、やっと束縛から放たれた。


なるほど。それぞれの碑文が、偉人と呼ばれる人たちの人格・業績を凝縮して表現していますね。 

個人のミッション・ステートメントを作成する

それでは、実際に私個人のミッション・ステートメントを作成していきます。長年、自分の人生はこれ、というふうに心に描いて生きてきましたが、実際にそれをミッション・ステートメントという形で表現したことはないので、面白い取り組みになるのではないかなと期待しています。

4つの要素

まずしなければならないことは、Identifying Your Center(中心を把握する)です。これは生きていくうえで、自分にとって基礎を形成する価値観を把握しよう、ということですね。この基礎は4つの要素(安心感、ガイダンス、知恵、パワー)から成り立っています。

1. 安心感:自己価値、アイデンティティー、感情的基盤、自尊心、強み・弱みの源
2. ガイダンス:生きていく上で基盤となる指針
3. 知恵:自己の価値観・指針、またこれらの要素がどのように相互に関係しているかを理解する能力。判断力、洞察力、理解力の基礎を成す。
4. パワー:行動力、何かを達成するための能力。決断に必要なエネルギー。

上記の要素がどこから派生するのかを探ることにより、自己の中心が把握できるというわけです。

以下に私の4つの要素が何なのか挙げてみました。

1. 安心感:長期・短期の目標を定め、それらに向けて常に努力するというように心がけてきた。その過程の中で成長してきたし、またまだまだ成長を続けているという実感がある。その実感が、自分の生き方は間違っていないのだという安心感を与えてくれる。
2. ガイダンス:指針の源となっているのは、今までの仕事や人間関係から学んだ経験と読書から得られた知識が大きい。
3. 知恵:経験・読書に加え、常に目標に向かって努力をするという態度、常に成長を続けるという信念が、私の理解力・判断力・洞察力の基礎。
4. パワー:人生の目標を持ち、その実現を信じることが、行動力の一番の源。

上記をもとに私の自己の中心を一言で表すと、「成長」でしょうか。成長といってもただ単に筋力・体力をつける、会社のマネージャーとしての経験を積む、会社外での見識を広げる、というだけではありません。ここでいう成長は、自己の内面の形成と深くかかわっています。

古代ギリシャ哲学は4つの徳(virtues)を人格形成の基礎を成す要素と考えました。一般に四徳と呼ばれ、知恵・勇気・節制・正義と訳されています。これに平常心・慈愛を足した6徳をバランスよく伸ばしていくのが、私にとって「成長」を意味します。

また、徳を深めるには、精神的次元を意識する必要性が出てきます。というのは、徳は指針、いわば法律のため、憲法にあたる根源的な観点が不可欠となるのです。

The spiritual dimension is your core, your center, your commitment to your value system.

訳:精神的な次元が自己の中心を成し、己の価値観への誓約ともなるのだ。


第7の習慣の章でコヴィーは精神的な次元を自己の中心そのものと捉えています。個人的には価値観への誓約というよりは、価値観の基礎となりうるものだと思いますが、いずれにしてもこの言葉で表現できない、理論ではなく直感的にしか捉えられない思考・感情の流れを心、すなわち自己の中心と定めることができると思います。

社会の中での役割・目標を把握する

自己の中心が得られたら、今度は社会における自分の役割・目標を把握していきます。人は誰しも独りで生きているわけでなく、社会の中で必要な役割を幾つもを果たして生きています。ここでは自分の役割を認識し、それぞれの役割の中での目標を設定します。

社会における私の役割とは…
  
マネージャーとして:ポートランド・オフィスを任されているのだが、まだまだ力不足を実感する毎日。貿易・ビジネスの勉強を継続することはもちろん、活気のあるチームを作っていくのが目標。
息子として:自分の好きなように生きてきたので、もう少し時間を一緒に過ごしてあげられたらな、というのが希望。
兄弟として:別に仲が悪いわけではないのだが、もっと仲良くする。
友人として:好かれるよりも、信頼されること。
鳥取県出身者として:特に地元には思い入れが強い。いつかは貿易関係で地元の役に立てればと思っている。
自分として:自分の信じるように生きる。

自己の中心や自分の役割・目標を書き出してみることで、重要であるにもかかわらず見落としがちだった事柄や、ぼんやりとしか見えていなかった物事の輪郭が明確になったような気がします。

私のミッション・ステートメント

常に信念を忘れないこと。
常に挑戦を続けること。
まず自らが変わること。
まず相手の立場に立ってみること。
人の話に耳だけでなく、心も傾けること。
何に対しても好奇心を持つこと。
ミスすべては自分の責任。手柄はすべて他人のもの。
思いやりを忘れずに!
努力、努力、努力。

こんな感じでしょうか。

クリスティーナの世界

最後になりますが、ブログの最初に掲げた絵のタイトルは「クリスティーナの世界」といいます。1948年、アメリカのアンドリュー・ワイエスによって描かれ、20世紀アメリカ中期を代表する絵画のひとつです。

この絵にはぐっと惹き込まれてしまいます。クリスティーナは一体何を見つめているのでしょうか? 空? 地平線? 納屋らしき建物? それとももっと別の何かなのでしょうか? 実際の距離はそれほどのものではないのに、クリスティーナの視線の先にある風景との間には、果てしない、届かないほどの隔たりがあるように見えます。モデルとなったクリスティーナは、実在した女性で、病気のため足が不自由で這うことしか出来ませんでした。

今自分がいる場所と目的地。その2つの間に隔たる果てしない距離。にもかかわらず、遅々たる歩み。思わず、彼女の状況と自分の人生をオーバーラップしてしまいます。

でもクリスティーナは苦境に負けず、必死に草原を這っています。ワイエスはそんな彼女の姿に感銘し、この絵の創作を始めたとのことです。




参照:

The 7 Habits of highly Successful People by Stephen R. Cove


注釈:訳はすべてブログ著者によるものです。「七つの習慣」の訳文とは異なります。





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