2016/09/10

ビジネス・貿易英語と機械翻訳について書いてみる その1 

弊社サイト:www.usstreamline.com

今回は最近読んだ記事について紹介します。また、訳文を無料の機械翻訳プログラムを利用して逆翻訳してみます。どうしたらマシーンにとって理解しやすい日本語を構成できるのでしょうか? シリーズで考えてみます。今日はその第一弾です。


本日の記事のタイトルはBusinessweekの Is the U.S Missing The TPP Train?


TPPとはTrans-Pacific Partnership の略称です。


日本語にはどう訳されているのでしょうか? 朝日・日本経済新聞は「経済」という単語を加え環太平洋経済連携協定としているのに対し、外務省は結構シンプルに環太平洋パートナーシップ協定と呼んでいます。


ちなみにWikipediaはTPPを環太平洋戦略的経済連携協定と訳していますが、これは調べてみるとTPPでなくその基本となる協定のTPSEP (Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement )を指しているようです。アメリカの通商代表部(USTR)も今話題になっている協定をTPPと呼んでいるので、間違いなでしょう。


TPPの説明はこのくらいにして、Businessweekの記事に移ります。タイトルを直訳すると「アメリカはTPPトレインに乗り遅れるか?」となります。トレインの部分は強調のために使用されている暗喩で、日本語には入れない方がすっきりと理解出来ます。


この記事ではタイトルが示す通りアメリカがTPP参加に遅れ、それが理由でTPP自体がお流れになってしまうのではないかと危惧しています。そうなってしまうと、TPPに現在のところは参加していない中国・インド主導のRCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership/東アジア地域包括的経済連携)が世界最大の貿易協定として勢いを得ることになりかねません。これには現在のところアメリカは参加していないので、TPPがダメになれば、将来東アジア地区の経済が生み出す恩恵を受けられない可能性が出てきます。アメリカにとっては痛いですね。


さて、それでは訳の方にいってみたいと思います。


原文:
The TPP will live or die based on what happens in Washington, since U.S. participation is essential for the agreement to succeed.


翻訳:
TPPの生死はワシントンで何が起こるかにかかっている。米国参加がこの協定の成功には不可欠だからだ。


コメント:1文でも訳せれるのですが、やっぱり短くしたほうがすっきりするような気がして、2文に分けました。おそらくそのほうが機械翻訳プログラムにとっても理解しやすいのではないかと思います。


では私の訳文がどう逆翻訳されるか見てみます。


Weblioでは...
The life and death of TPP appear what happens in Washington. This is because participation of the United States is indispensable for the success of this agreement.


コメント:まず、The life and deathなのですが、これでは意味が「生か死」ではなく「生と死」になってしまいます。この節はよく伝記のタイトルに使用されます。
例:The Life and Death of William Shakespere
ウィリアム・シェークスピアの一生


The life or deathならオーケーでしょう。


また、appearなのですが間違いですね。この単語の基本的な意味は「現れる」「~のように見える」です。


participation の前にはtheがあったほうがいいような。もっとも、新聞等メディアでは冠詞が省かれることはよくありますが。でもグーグルしてみると、やはりtheをつけるのが慣用のようです。


Google Translateでは...
Life and death of the TPP is depends on what happens in Washington. US participation is essential because it is the success of this agreement.


コメント:
Life and deadについては上記と同じです。


TPPのあとのisはいりません。dependsが動詞なのでこのままだと動詞が重ってしまいます。isを省くか、またisを残すならdependsをdependentと形容詞するとよいでしょう。


後半はbecause以下が違っていますね。米国参加がこの協定の成功だ、と英訳されています。


最終的には:
途中のステップはスペース上割愛しますが、最終的には以下の翻訳で落ち着きました。結構意訳になってしまうかもしれませんが。


TPPの成否はワシントン次第だ。米国の参加がこの協定の成功に不可欠だから。


Google Translate:
The success or failure of the TPP is up to Washington. Since the participation of the United States is vital to the success of this agreement.


Weblio:
The success or failure of TPP is up to Washington. Because participation of the United States is indispensable for the success of this agreement.


悪くないのではないかと思います。

英語に関して不明な点・質問のある方はコメントいただけると嬉しいです!!


T.Y

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